あなたの夢で眠りたい

夢見た未来はまだ来ないけどその日を迎えたい、きみと一緒に。

眠れぬ雨夜の処方箋


誰に向けているでもない、自分の思考の整理のためだけに今の気持ちをここに記す。


しんどい。毎日しんどい。
よろこびと、かなしみと、くやしさが、代わる代わる打ち寄せては心の奥底に澪をつくって引いてゆく。

よろこび。
新たな仕事が決まるというのはうれしいことだ。
小島の主演ドラマや正門のサタプラ就任、それに付随したテーマソングの発表、雑誌の表紙など。
うれしい。とても喜ばしい。
けれど、一拍おいたそのあとに、「しかし」の感情がやってきてしまう。


不穏な空気はツアーが終わった6月ごろから漂いはじめていた。
文春がAぇのデビュー確実という情報を流した6月下旬。当時は詳細など明かされていなかったが、後日判明した内容としては、バレーW杯のサポーターに就任予定だったとのことである。しかしその後、ジャニー氏の性加害問題を鑑み、くだんの件は白紙になったというのだ。

この記事が出たときはそもそも全てが誤報だと思っていた。
ゴシップ記事の中では信憑性のある文春が報じた内容だったとしても、真実味があまりにも薄かったし、話題作りとして利用されただけだろうと考えていた。デビュー確実の話が虚偽だったとしても、その後「白紙」という情報を流せば結果論としてそれらしく成立もする。
内部の機密情報を流す人間がAぇの周囲にいるということを受け入れたくなかった、というのもある。

そしていまだに文春が流したこれらの情報全てが、何が真実で何が虚偽なのか、我々にはわかっていない。


だから、そもそもデビューなんてまったく決まってなかったと思っていた。思いたかった。
けれど9月になって、新たなAぇの仕事が発表されるたびに、「Jr.としては異例」であることが続いて目眩を覚えるのだ。

小島の主演ドラマ、それの主題歌がAぇなのはまだ前例があるからわかる。
だが正門のサタプラ就任は?そのテーマソングがAぇなのは?
同時期に新曲が2曲も発表になり、そのどちらにもタイアップがつくなど異例だ。
仮にW杯の応援ソングがデビュー曲であったとしたら、2ndシングルとしてタイアップ付きの両A面を出す予定だった、という道筋は大いに考えられる。

上半期から続いていた、全国枠のTV番組へのゲスト出演ラッシュも、雑誌の表紙ラッシュも、なにわのデビュー発表前後を彷彿とさせる慌ただしさだった。


さらに11月に入ったいま、冬のJr.の現場が続々と発表されている。
12月にボイビ、アンビ以下のオリ劇、
1月にHi美を含めた東京Jr.の帝劇、
そして「関ジュのあけおめ」と銘打ち、年明けにりとかん以下の城ホあけおめ公演が決まった。
このどこにもAぇ! groupの名前がない。

さすがに来年あけおめに出られたら、それはそれでなんでやねんとなるので出演しないこと自体はいいのだが、そもそもジュニア内でのAぇの立ち位置とは、と困惑を隠せない。
現場のスケジュールはおそらく半年以上前からプロジェクトとして動いているはずだ。デビューを見越してAぇをJr.として扱わずに現場の予定を組み込まれていたのなら、と考えずにはいられない。


しかしこれらの悲嘆はそもそも憶測の上でしか成り立っておらず、ifの世界線を考えたところで何にもならない。
本当にデビューする予定があって、それが立ち消えてしまったのかどうかすらわからない。
わからないけれど、「そうだったかもしれない」という可能性が顔を覗かせるたびに「もし何事もなくデビューできていたら」と考えてしまう。

新しい仕事や新曲があるのは素直にうれしい。
けれど、打ちよせる「うれしい」という感情の中に混じるこういったくやしさが、澪を引き、泡沫になって消えてゆく。


そうしてこれらの根底には、「今後本当にきちんとデビューできるのか」という泥濘とした不安がいる。

そもそも不安と言ってしまえば、オタクなんかよりもメンバーたちの方がよほど不安なはずだ。
事務所の形態が変わり、現時点で新事務所の名前すらも決まっていない、運営方法までも定まっていないように見える、このもやもやとした圧倒的不確定要素に取り巻かれているのは、紛れもなく彼ら自身なのだ。

それが明確になったのが、11月4日に更新された佐野のブログだった。

前日の銀杏祭へのサプライズ参加は、ファンの間で騒然となった。当然彼らはさまざまな声を目にしただろう。
その中で佐野は、ファンの心情に優しく寄り添いながら、たくさんのメンバーの写真とともに丁寧な言葉で経緯や想いを綴っていた。
以下はその中の一節だ。


色んなことが無くなって
でも人前に立ちたくて
何かしたくて
何かしないと、と
6人で相談してチャレンジした場所です。

Aぇぶろぐ 佐野晶哉
2023年11月4日(土)20:00


この文章が、いまの彼らを取り巻く全てを物語っているように思う。


「色んなことが無くなって」

一体どれだけのものを失わなければならなかったのだろう。
我々が認識しているのはきっとほんの一部で、彼らが見ている世界はもっと壮絶なのだ。
アイデンティティさえも奪われかけ、それでもなお歩みを止めず必死に足掻き、高みを目指して登り続けている。

現状で事務所にどうするのか、と迫ったところでどうしようもないのはわかる。
だが時間がない。時間がないのだ、こちらには。
アイドルは有限だ。来年の8月に自担は30歳を迎える。悠長に待っている暇はない。アイドルとして歩む人生を、少しでも長く輝かしいものにしてあげたい。


先日発売されたananで末澤はこう言っていた。

結成からもう5年。早く次のステップに行きたいです。

まだわからんことが多いんですけど、今まで通りやっていきますし、1日でも早くみんなに安心してもらえるように頑張らなあかんなって思います。

anan 2371号


この言葉を言わせなくてはいけないのがとてもつらく苦しい。なにもできないことがもどかしい。

だって彼らは頑張っている。ずっと。ずっと。もうずっと。
人生の半分以上をアイドル業に捧げているメンバーだっているのだ。その頑張りが報われる日が来るのはいつになるのか。


何かを恨むことさえできない。
できるとしたら、好奇の目で勝手なことだけを言い、不要なところへまで延焼させた世間を唾することくらいか。


この世界は、上にいけばいくほど風当たりが強くなる。
天気は変わりやすく、晴れて目標地点が明確に見えていたはずが、急に霧や暗雲が立ち込めて目指す場所さえわからなくなる。
足場は不安定で、少しでも足を踏み外せば命さえ危ういこともある。彼らはいま、そんなところを歩いている。


先のananでメンバーたちはこうも話している。(一部抜粋)


末澤「俺らがやることは変わらないので、変わらず応援してくれると嬉しいです」

佐野「直接声を届けられる場がないので、不安になることもあるかもしれないけど、これまで通り、また会える日を楽しみにしながら、応援してください」

福本「あまり深く考えず、お互いに今の関係でいられたら嬉しいです」

草間「みなさんには、楽しいことだけを考えていてほしい。心配されると、こっちが心配になっちゃうので」

小島「喜んでくれる人がいるなら、僕たちは何でもしますし、向き合っていきます」

正門「ありがとうの一言に尽きますよね。Aぇ! が夢を描けるのも、未来について話せるのも、みなさんがいてくれるから」


どんなに深い不安の中にいたとしても、ファンの前に立つとき、Aぇはいつでも笑っている。
大丈夫だからと、安心してついてこいと、優しく力強い言葉で手を引いてくれる。

だから、その言葉を胸に、明るい未来を信じて先をまっすぐに見据えるのだ。
物事はすべて良い方向にしか動かない、はずだ。
きっと良い結果になるに違いない。


冬が、はじまろうとしている。